混沌こそ好物
土壁と土鳩色の瓦屋根、トタン塀の目立つ山間農村集落に、唐突に出現する洋風の白いお城。
この場違いっぷりは威容と言うよりむしろ異様。
あまりのミスマッチさに唖然としてしまう。信州ゴールデンキャッスル。
この場違いっぷりは威容と言うよりむしろ異様。
あまりのミスマッチさに唖然としてしまう。信州ゴールデンキャッスル。
いつ行っても、竜退治で有名なセントジョージの守るベルサイユ風の門は閉ざされたまま。
それでもご近所で農作業中の方々にお話を聞けば、みなさん苦笑いしながら色々教えてくれる。
当初は地元出身の某居酒屋王が、自身の別荘として建造開始したのだけど…
増工をかさね規模が拡大するにつれ、社員の福利厚生、企業向け研修所、披露宴会場など用途を模索。
ヘリコプターでの新郎新婦送迎なんてのもやってたそうで。
現在は美術品売買会社の倉庫兼展示場になっており、残念ながら内部の見学は受け付けてない。
駐車場を縁取る山際は全国各地から運ばれた巨石名石を配し、人工の滝や池も造営された庭園。
名石の傍らには一々「○○産○○石」って銘板が添えられ、石好きな人には親切かもしれないけど…
景観を損なってて正直ちょっとウザイ。
策路沿いには鳥籠スタイルの欧風東屋が設置され、鳥籠の中には囚われの姫よろしく「水浴の娘」のレプリカ。
落成時には近隣住民を招いてお披露目したとか。
その時館内を見学した方の感想は「女の裸の絵や像ばっかでヤラしい」…フォルコーネも形無し。
巨石名石に混じって、居酒屋王の座右の銘や人生訓を刻んだ碑も建ってます。
傾斜地に巨石を配した庭は、どこか日本庭園風。
周囲集落との違和感や、庭や建物の装飾様式も統一感がなく、混沌とした印象を受ける異空間。
でもまぁ、中世王侯貴族の私設博物館「ヴンダーカンマー」や、明治大正期の和洋折衷館とかだって混沌の産物だし。将来再評価される時が来るかもね。
地図上は一見何も無いけれど…航空写真で見てみよう。